転職とお金

診療放射線技師になるには|養成校・国家試験・費用と取得後の年収【2026年版】

2026年6月19日 更新 / メディカルマネー編集部 / 監修:黒田律(内科医・産業医) / 初級者向け

この記事のゴール

「診療放射線技師になりたい」「他職種から転職したい」という方が、養成校のルート・修業年限・国家試験の受験資格と最新合格率・学費の目安・取得後の年収までを一気に把握できることを目指します。夢の部分だけでなく、費用と回収、当直のある働き方といった現実も正直に書きます。数値は本文中の出典に基づく「目安・最新」です。

診療放射線技師とはどんな仕事か

診療放射線技師は、医師の指示のもとでX線撮影・CT・MRI・マンモグラフィ・血管撮影・核医学検査・放射線治療などを担う国家資格職です。最大の特徴は、医師・歯科医師以外で、人体に放射線を照射できるのは診療放射線技師に限られること(いずれも医師等の指示のもとで行います)。つまり放射線を用いた検査・治療は診療放射線技師の業務独占です。

仕事は大きく「画像検査(診断のための撮影)」と「放射線治療(がん治療など)」に分かれます。病気の早期発見からがん治療まで関わる、チーム医療の要の一つです。なお、施設によってはMRIなど放射線を使わない検査も担当しますが、超音波(エコー)検査は主に臨床検査技師・医師・看護師が担う領域で、技師が日常的に担当するとは限りません。業務独占の核はあくまで放射線です。

💡名前が似た職種に注意

「臨床工学技士」「臨床検査技師」と混同されがちですが別資格です。違いは記事後半の比較表で整理します。

養成校のルート:大学4年か、専門3年以上か

診療放射線技師になるには、文部科学大臣が指定した学校(大学・短大)、または都道府県知事が指定した診療放射線技師養成所(専門学校)で、3年以上、必要な知識・技能を修めて卒業することが必要です。これは診療放射線技師法で定められた要件で、どの学校でもこの年限の短縮はできません。主なルートは次の2つです。

ルート修業年限取得できるもの向いている人
4年制大学(国公立・私立)4年学士+受験資格。学会認定や大学院進学にも有利研究・教育・キャリアの幅を重視する人
専門学校(3年制)3年受験資格。最短・費用を抑えて現場へ早く就職したい・費用を抑えたい人
専門学校(4年制)4年受験資格+高度専門士など専門校でじっくり学びたい人

養成校は全国におよそ50校前後(媒体により49〜54校と幅があります)で、過半数が4年制大学です。社会人や他職種からの転職でも、入学して所定の課程を修了すれば受験資格が得られます。なお、看護師など他の医療資格を持っていても、この養成課程の短縮はありません(旧・診療エックス線技師合格者への試験科目免除や、外国の養成校卒・外国免許保有者が厚生労働大臣の認定で受験できる特例ルートは別途あります)。

出典:厚生労働省「診療放射線技師国家試験の施行」(https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/shinryouhoushasengishi/)/診療放射線技師法・診療放射線技師学校養成所指定規則(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC0100000226)/全国診療放射線技師教育施設協議会 会員校一覧(https://www.kyozaikyo.org/)。校数は集計媒体により幅があります。

国家試験の受験資格と最新の合格率

診療放射線技師国家試験は年1回、例年2月中〜下旬(近年は第3週の木曜頃)に実施されます。直近では第77回が2025年2月20日、第78回が2026年2月19日でした。受験には上記の養成課程の修了(または修了見込み)が必要です。試験は11科目で、合格基準は概ね「総得点の6割以上」。例年は200問・200点満点ですが、第78回は不適切問題による配点調整で199点満点となり、120点以上(0点科目1科目以下)が基準でした。

回(実施年)合格率(全体)新卒合格率
第78回(2026年)76.2%(受験3,506人/合格2,670人)83.8%
第77回(2025年)84.7%92.2%
近年の傾向おおむね70〜85%台で推移新卒は8〜9割台
「合格率8割」を楽観しすぎない

合格率は年によって振れます。直近の第78回は前年の84.7%から76.2%へ、約8.5ポイント低下しました。とくに合格率が急落した年は既卒(浪人)の合格率が2割前後まで下がることがあり(第78回の既卒合格率は約20.1%)、「現役で受かりきる」ことの価値は大きいです。新卒合格率が高いのは在学中の集中学習が効くためで、決して試験が簡単という意味ではありません。

出典:厚生労働省「第78回診療放射線技師国家試験の合格発表について」(https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2026/siken06/about.html)/厚生労働省「第77回診療放射線技師国家試験の合格発表について」(https://www.mhlw.go.jp/general/sikaku/successlist/2025/siken06/about.html)。合格基準・配点は厚生労働省「第78回診療放射線技師国家試験問題および正答について」より。

学費の目安:回収の発想で見る

進路選びでは学費が大きな分かれ目です。あくまで目安ですが、卒業までの総額は次のイメージです。

学校種別修業年限卒業までの学費目安(総額)
国公立大学4年約250万円前後(入学金+授業料)
私立大学4年約600〜800万円(平均およそ660万円)
専門学校(3年制)3年約400万円前後(平均およそ403万円)

出典:ベスト進学ネット「診療放射線技師の学費」(https://www.best-shingaku.net/s-matome/medical/c001642.php)/診療放射線技師JOB 大学一覧・学費(https://rtjob.jp/about_rt/school/university/)。国公立は授業料・入学金からの試算で、私立・専門は実験実習費・施設費・教材費を含む集計の場合があり、含まれる費目は学校種別・各校により異なります。金額は学校により幅があり、あくまで目安です。

ポイントは「総額」と「働き始める時期」の両面で見ること。専門3年制は私立大より総額が抑えられ、1年早く収入が始まるのが利点です。一方で私立大は高額ですが、学士の取得や学会認定・大学院進学など中長期のキャリアでメリットが出る場合があります。なお上表には在学中の生活費や、社会人の場合の在学中の逸失収入は含まれません。教育ローンや奨学金を使う場合は、生活費まで含めた総コストと、初任給からの返済負担まで含めて設計しましょう。

学費を奨学金で賄うなら、就職後の手取りからいくら返せるか先に確認を → 手取りシミュレーター

取得後の年収と「当直のある働き方」

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、診療放射線技師の平均年収はおよそ550万円(きまって支給する現金給与額が月約37.6万円、年間賞与等が約99万円、企業規模計)。全産業平均と比べても安定した水準ですが、初任給は手取りで20万円前後からのスタートが一般的です。

収入を押し上げる要素のひとつが夜勤・当直・オンコール手当です。救急対応のある病院では、CT・X線などを夜間に撮影するため当直が組まれます。手当はつきますが、生活リズムや体力との兼ね合いは正直に考えておくべき点。診断専門クリニックや健診センターなど、当直の少ない職場もあります。

💡年収を上げる主な道

当直の多い急性期病院、認定資格(マンモグラフィ・X線CT・放射線治療など)の取得、管理職・主任への昇格、装置メーカーや治験など民間への転職。働き方とのバランスで選びましょう。職種別の手取り感は職種別の手取り比較、技師全般のお金は技師のお金の記事で詳しく扱っています。

出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(職種別データ、e-Stat https://www.e-stat.go.jp/)。きまって支給する現金給与額37万5,600円・年間賞与等99万1,300円から算出した目安。年収は地域・施設規模・経験年数で大きく変動するため目安です。

臨床工学技士との違い

進路で迷いやすいのが臨床工学技士との比較です。どちらも医療機器を扱いますが、領域が異なります。

項目診療放射線技師臨床工学技士
主な業務X線・CT・MRI等の撮影、放射線治療人工呼吸器・人工心肺・透析等の操作・保守管理
独占の核人体への放射線照射(医師等以外で唯一)生命維持管理装置の操作
主な活躍場所放射線科・健診・治療室手術室・ICU・透析室・ME室
養成・国家資格3年以上の養成課程+国家試験3年以上の養成課程+国家試験

ざっくり言えば「画像と放射線の専門家」が診療放射線技師、「生命維持装置の専門家」が臨床工学技士。お金や働き方の違いは臨床工学技士のお金の記事とあわせて比べると判断しやすくなります。

出典:滋慶医療科学大学「3職種の違い」(https://www.juhs.ac.jp/news/2024/09/ce-re-mt-difference/)/日本臨床工学技士教育施設協議会(https://www.jaefce.org/about_ce/works/)

社会人・他職種からの転職で目指す場合

すでに働いている人が目指す場合も、ルートは「養成校に入学して3年以上の課程を修める」が基本です。夜間課程は少ないため、退職または休職して通学する前提の資金計画が要になります。在学中の生活費+学費を奨学金や教育ローンでどう賄い、就職後に返すかを先に固めましょう。

転職での見落としがち

「他の医療資格があれば短縮できる」と思われがちですが、看護師など他の医療資格による課程短縮の制度はありません。最短でも専門3年の通学が必要です。収入が止まる期間を含めて回収計画を立ててください。

通学期間中の収入ダウンと返済を含めた長期設計は → ライフプランシミュレーター

奨学金の返済設計は奨学金返済の記事を、転職活動そのものは転職サイトの選び方もあわせてどうぞ。

まとめ

  • 診療放射線技師は、医師等以外で唯一、人体に放射線を照射できる国家資格職。X線・CT・MRI・放射線治療などを担う。
  • 養成ルートは大学4年専門3年以上。法律で3年以上が必須で、他の医療資格による課程短縮はない。
  • 国家試験は年1回(2月中〜下旬)、合格基準は約6割。直近は全体76.2%・新卒83.8%(第78回)、前年は84.7%と年により変動。
  • 学費の目安は国公立大250万円前後・私立大660万円前後・専門3年制400万円前後。総額と就職時期の両面で選ぶ(生活費・逸失収入は別途)。
  • 取得後の平均年収は約550万円(令和6年調査の目安)。当直・認定資格・昇格などで上振れするが、働き方との両立は要検討。

よくある質問

診療放射線技師の国家試験は難しい?

合格基準は総得点の約6割で、新卒の合格率は8〜9割台と高めです。ただし範囲が広く11科目から出題され、合格率が急落した年(第78回など)は既卒の合格率が2割前後まで下がることもあります。現役で受かりきる前提で計画的に学習するのが現実的です。

大学と専門学校、どちらが有利?

受験資格はどちらでも得られます。費用と就職時期を重視するなら専門3年制、学士・研究・大学院進学など長期のキャリア幅を重視するなら大学が向きます。年収は学校種別より施設・経験・働き方の影響が大きいです。

社会人や他職種からでもなれる?

なれます。ただし養成校に入学して最短3年通う必要があり、他の医療資格による課程短縮はありません。収入が止まる期間と学費を含めた資金計画が成功のカギです。

学費が払えるか不安なときは?

日本学生支援機構などの奨学金や教育ローン、各校の特待・減免制度があります。就職後の手取りから無理なく返せる額かを先に試算しておくと安心です。手取りやライフプランのシミュレーターを活用してください。

臨床工学技士とどちらを目指すべき?

「画像・放射線」に関心があれば診療放射線技師、「生命維持装置・手術室・透析」に関心があれば臨床工学技士が向きます。年限や年収水準は近いので、やりたい業務領域と働き方で選ぶのがおすすめです。


免責:本記事は2026年(令和8年)時点の公開情報をもとにした一般的な進路・お金の情報提供であり、特定の学校・進路・投資を勧誘するものではありません。学費・合格率・年収は学校や年・地域で変動するため、数値はすべて目安です。最新の要件は必ず各養成校・厚生労働省・各実施機関の公式情報でご確認ください。参照源:厚生労働省「診療放射線技師国家試験の施行/第77回・第78回合格発表」、診療放射線技師法・指定規則(e-Gov法令検索)、厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(e-Stat)、全国診療放射線技師教育施設協議会、ベスト進学ネット、診療放射線技師JOB、滋慶医療科学大学、日本臨床工学技士教育施設協議会。監修:内科医・産業医 黒田律(医療制度・働き方・お金の観点で監修。資格制度・国家試験の要件は上記一次情報に基づき確認しています)。

監修・運営:黒田 律(くろだ りつ)

内科医・産業医(医師8年目)/投資家

地方の病院で内科診療を続けながら、産業医として「働く人の心身とお金」に向き合う医師。記事は税・制度などを公的な一次情報で確認し、医療・制度面を監修しています。運営者・編集方針について →