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看護師になるには|学校・費用・国家試験・社会人からのルート

2026年6月19日 更新 / メディカルマネー編集部 / 監修:黒田律(内科医・産業医) / 初級者向け

看護師は、医師の指示のもとで診療の補助を行い、患者さんの療養上の世話(食事・清潔・移動・観察など)を担う国家資格職です。病院だけでなく、クリニック、訪問看護、介護施設、保育園、企業の健康管理室、行政まで活躍の場が広く、ライフステージが変わっても働き続けやすいのが大きな魅力です。一方で、夜勤・命を預かる責任・身体的負担など、現実の厳しさもある仕事です。

この記事では、看護師になるための学校ルート(大学4年・短大3年・専門学校3年、准看護師→看護師)、国家試験の受験資格と最新の合格率、学費の目安、社会人や介護職など他職種からのルート、そして取得後の年収と「回収」の現実までを、厚生労働省など一次情報をもとに2026年(令和8年)基準で整理します。サイトの軸である「お金」(学費・奨学金・回収)も必ず絡めて解説します。

この記事のゴール

「大学・短大・専門学校・准看護師ルートのどれを選ぶか」「いくらかかり、卒業後どのくらいで回収できるか」「社会人・他職種からでも目指せるか」を、最新の合格率と学費・年収の目安をもとに自分の状況に当てはめて判断できるようになることがゴールです。

看護師の仕事と「正看護師・准看護師」の違い

一般に「看護師」と呼ぶとき、厳密には看護師(正看護師)准看護師の2つがあります。違いを最初に押さえておくと、ルート選びで迷いません。

  • 看護師(正看護師):国家資格。学校で学んだのち看護師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受ける。自らの判断で看護を計画・実施できる範囲が広い。
  • 准看護師:都道府県知事の免許(国家資格ではない)。医師・歯科医師・看護師の指示を受けて看護を行う。養成期間が短く中学卒業から目指せる一方、給与・キャリアの伸びしろは正看護師に分があるのが実情です。

このため本記事では、まず正看護師を目指すルートを中心に扱い、後半で准看護師から正看護師へ進むルートも解説します。

看護師になる学校ルート(大学・短大・専門・5年一貫・准看ルート)

正看護師の国家試験を受験するには、保健師助産師看護師法(保助看法)に定められた養成課程(学校)を卒業して受験資格を得る必要があります。誰でも独学で受けられる試験ではありません。指定の主体はルートで異なり、大学・短大は文部科学大臣の指定、看護師養成所(専門学校など)は都道府県知事の指定です(「厚生労働大臣の指定」ではない点に注意)。主なルートは次のとおりです。

ルート修業年限入学資格特徴・指定主体
看護系大学(4年制)4年高卒看護学+一般教養。卒業時に学士。保健師・助産師課程を選べる学校も。研究職・管理職・進学に有利(文部科学大臣の指定)
短期大学(3年制)3年高卒3年で受験資格。数は減少傾向(文部科学大臣の指定)
看護専門学校(3年制)3年高卒実技・実習中心で実践力。最短3年・学費も抑えやすい主流ルート(都道府県知事の指定する看護師養成所)
5年一貫看護師養成課程校5年中卒高校(看護科など)と看護を一体で学び、卒業時に受験資格。2024年4月時点で全国に約78校
准看護師→2年課程2〜3年准看護師免許すでに准看護師の人が正看護師を目指すルート(詳細は後述)
💡4年制大学か、3年制(短大・専門)か

急いで現場に出てコストを抑えたいなら3年制(専門・短大)、教養や将来の選択肢(保健師・助産師・大学院・管理職)を広げたいなら4年制大学が向きます。「最短で資格」と「将来の幅」のどちらを優先するかで決めるのが基本です。

出典:厚生労働省「看護師国家試験の施行(受験資格)」、保健師助産師看護師法第21条(大学・短大=文部科学大臣指定/看護師養成所=都道府県知事指定)、文部科学省・厚生労働省「看護師等学校養成所指定規則」(カリキュラム基準)、文部科学省「高等学校における看護教育」(2025年閲覧、https://www.mhlw.go.jp/ ・ https://www.mext.go.jp/ )

看護師国家試験の受験資格と最新の合格率

上記の養成課程を卒業(または卒業見込み)すると、看護師国家試験の受験資格が得られます。試験は年1回、例年2月に実施され、3月下旬に合格発表があります。第114回は2025年2月16日に実施、3月24日に合格発表でした。

直近の第114回看護師国家試験(2025年)の結果は次のとおりです。

項目第114回(2025年)
出願者数63,819人
受験者数63,131人
合格者数56,906人
合格率(全体)90.1%(前回比+2.3ポイント)
新卒者の合格率95.9%(新卒合格者53,718人)

看護師国家試験の合格率は例年おおむね90%前後で推移しており、新卒者に限れば95%前後と高めです。これは「養成課程できちんと学べば多くが合格する」試験である一方、学校に入って卒業すること自体が実質的な関門であることも意味します。実習を含むカリキュラムは負担が大きく、進級・卒業のハードルを軽視しないことが大切です。

「合格率90%」を過信しない

合格率が高いのは、受験者の多くが養成課程を修了した人だからです。入学・進級・実習・卒業という長い過程を乗り越えた人の合格率であり、「誰でも受かる試験」という意味ではありません。学業との両立計画こそが本当の勝負どころです。

出典:厚生労働省「第114回看護師国家試験の合格発表」(2025年3月24日発表)。数値は厚生労働省発表資料による(https://www.mhlw.go.jp/ )

准看護師から正看護師になるルート

すでに准看護師として働いている人が正看護師を目指す場合は、看護師学校養成所「2年課程」に進むのが一般的です。働きながら学べる選択肢もあります。

課程修業年限主な実務経験要件
2年課程(全日制)2年高卒者は不問/中卒者は准看護師として実務3年以上
2年課程(定時制)3年同上(働きながら通学)
2年課程(通信制)2年准看護師としての実務経験が必要(年数要件は下記コラム参照/緩和の対象は通信制のみ)
💡通信制の実務年数要件が緩和されます

通信制2年課程の入学要件は従来「准看護師として実務7年(84か月)以上」でしたが、2026年(令和8年)4月入学者から「実務5年(60か月)以上」に緩和される予定です。緩和の対象は通信制のみで、全日制・定時制の要件(上表)とは別系統です。働きながら正看護師を目指す人には追い風ですが、最新の要件は進学先と都道府県に必ず確認してください。

「准看から」は通算の年数と費用で見る

准看ルートは一見「安く・短く」見えますが、これは正看になるまでの最終段だけの話です。無資格から始める場合、准看護師養成課程(約2年)→准看として実務5年(通信制の場合)→通信2年課程と進むため、最短でも合計7年超かかり、准看の養成費用と2年課程の学費の二段構えの費用がかかります。「准看から」を選ぶときは、正看到達までの通算年数・通算費用で比較してください。

准看護師から正看護師になると、給与水準やキャリアの幅が広がりやすくなります。介護職から看護を志す人の具体的な進み方は、介護士から看護師になるルートで詳しく解説しています。

出典:日本看護協会「看護師学校養成所2年課程への進学」、厚生労働省 医道審議会 保健師助産師看護師分科会 資料(通信制入学要件の見直し)、保健師助産師看護師法・指定規則関連資料(2025年閲覧)

高校生・社会人・他職種からのルート

看護師は社会人からの転身が多い職種です。入学に年齢の上限は原則なく、30代・40代で看護学校に入学する人も珍しくありません。出発点別の進み方は次のとおりです。

  • 高校生:卒業後に看護系大学・短大・専門学校へ。中学卒業時点で進路が固まっていれば5年一貫校も選択肢。
  • 大卒・社会人(無資格):高卒以上の入学資格を満たすため、大学・短大・専門学校(3〜4年)に入り直すのが基本。社会人入試・学費支援を活用する人が多い。
  • 介護福祉士・准看護師など有資格者:介護職は准看護師を経由するルート、准看護師は2年課程で正看護師を目指すルートが現実的です。
「入学に年齢制限なし」と「就職で不利になりうる」は別の話

入学に年齢の上限がないのは事実ですが、卒業後の新卒就職では年齢が考慮される場面(夜勤前提の病棟採用など)もあります。「資格さえ取れば年齢不問」と読み違えると、40代で2〜3年+逸失収入をかけた後の就職難易度を過小評価しかねません。入学と就職は分けて考え、就職側の現実も織り込んで計画しましょう。

社会人は「収入が止まる期間」を設計する

社会人ルート最大の壁は学費そのものより、在学中に働けない(または収入が大きく減る)期間の生活費・逸失収入です。生活費だけでも、月12〜14万円程度として3年で約400〜500万円規模に達することもあります(生活水準による粗い試算です)。修学資金・教育訓練給付・貯蓄を組み合わせ、在学2〜3年分の家計を先に組み立ててから出願しましょう。

学費の目安と「いくらかかるか」

看護師になるための学費は、ルートによって大きく変わります。あくまで目安として、2025年時点の一般的な水準を示します(教科書・白衣・実習交通費などは別途)。

ルート修業年限学費の目安(総額)
国公立大学(4年)4年約240〜250万円
私立大学(4年)4年約500〜800万円
専門学校(3年)3年約200〜350万円
准看→2年課程(全日/通信)2年約80〜200万円
国公立の「約240万円」は授業料+入学料の概算

国公立大学の約240〜250万円は、標準額(入学料約28.2万円+授業料年約53.58万円×4年)をもとにした授業料+入学料の名目額の概算です。看護学科は実習費・施設費・教材費などが別途かかり、実際の総額はこれを上回ることが多くなります。私立大の「500〜800万円」と並ぶと国公立が極端に安く見えますが、最安ルートとして単純比較しないよう注意してください。私立大の上限800万円も学費が高めの校に引っ張られた数字で、実際には幅があります。

もっとも費用を抑えやすいのは国公立大学医師会立などの専門学校です。私立大学は教養・環境が充実する反面、総額は大きくなります。学費は「金額」だけでなく、卒業後の年収でどのくらいで回収できるかで考えるのが、このサイトの基本的な姿勢です(回収の考え方は後述します)。

出典:文部科学省「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」(標準額:入学料282,000円・授業料年535,800円)、各養成施設の学費公表値、日本看護協会 進学情報(2025年閲覧)。金額は学校により幅があるため目安です。

修学資金・お礼奉公の仕組みと注意点

看護学生には、都道府県や病院の「看護師等修学資金」という支援があります。在学中に毎月一定額を借り、卒業後に指定の施設で一定期間(例:5年など)働けば返還が全額免除される「条件付き貸与」が代表的です。いわゆるお礼奉公です。

条件を満たせば免除される「条件付き」の支援

免除条件を満たして勤務を続ければ返還が免除されるため、うまく使えば学費負担を大きく下げられます。経済的に進学をためらっている人ほど、まず志望地域・志望病院の修学資金制度を調べる価値があります。ただし「タダで学校に行ける」お金ではなく、あくまで一定期間の勤務という条件付きである点を最初に理解しておきましょう。

「途中で辞めると一括返還」のリスク

免除条件を満たす前に退職・転職すると、残額の一括返還や延滞利息(年14.5%など)が発生する制度もあります。配属先を選べない、勤務先が合わなくても辞めにくくなる、といった縛りに踏み込む点に注意が必要です。免除条件・対象施設・縛り年数・違約時の扱いを契約前に必ず確認しましょう。免除年数・対象施設・利率は自治体や病院ごとに異なり、東京都が令和7年4月に制度改正をするなど年度でも変わります。

奨学金・修学資金の返済設計や注意点は、看護師の奨学金返済ガイドで詳しく解説しています。借りる前に一読をおすすめします。

出典:東京都・神奈川県・山口県ほか各都道府県「看護師等修学資金貸与制度」要項(2025年閲覧)。免除条件・年数・利率は自治体・病院ごとに異なります。

取得後の年収と「回収」の現実的な考え方

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、看護師の平均年収は約519万円(目安)です。内訳は、きまって支給する現金給与額が月約363,500円、年間賞与が約835,000円で、合算すると約519.7万円になります(全体平均。男性約525万円・女性約506万円)。夜勤手当の有無や勤務先(大病院・クリニック・訪問看護など)で差が出ます。雇用が安定しやすい資格職である一方、近年は全産業平均(特に男性)も上がっており、年収面で必ず上位というわけではない点も正直に押さえておきましょう。

「数年で回収」は機会費用と手取りで考え直す

「専門学校300万円を数年で回収」という言い方は、分子に学費だけ・分母に額面年収を当てた都合のよい計算になりがちです。実際の投資額には、(1)学費に加えて在学中に働けない期間の生活費・逸失収入(社会人3年なら400〜500万円規模)を足す必要があり、合計は700〜800万円規模になることもあります。回収を見るときは、(1)学費+在学中コスト、(2)額面でなく手取り、(3)生活費を引いた「可処分の上乗せ分」で割る、の3点で考えるのが現実的です。

そのうえで、看護師は雇用が比較的安定し、ライフイベント後の復職もしやすいため、長期で見れば「学費=将来の収入への投資」として回収を見込みやすい資格だと言えます。ただしブランク後の復職時は、パート・夜勤なしなどの条件で年収が平均(約519万円)を大きく下回ることが多い点には留保が必要です。「いつでも平均年収で戻れる」わけではありません。

看護師の額面年収から手取りがいくらになるかは、こちらで試算できます → 手取りシミュレーター

「自分の経験・地域・勤務先・夜勤だと相場はいくら?」を知りたい人は、こちらで診断できます → 看護師の年収診断

職種別の年収比較は職種別の手取り・年収まとめ、看護師として収入を上げる具体策は看護師の年収アップ術を参考にしてください。

出典:厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」(看護師:月額きまって支給する現金給与額 約363,500円、年間賞与その他特別給与額 約835,000円)。年収は職場・夜勤・地域で差があり目安です。

向いている人・向いていない人

夢だけでなく現実も正直に書きます。次のような人は看護師に向いています。

  • 人の役に立つ実感を大切にし、学び続けることを苦にしない人
  • 夜勤・不規則勤務や、命を預かる緊張感に耐えられる体力・精神力がある人
  • 資格で長く働きたい、ライフイベント後も復職したい人

一方、極端な不規則勤務が体質的に難しい人や、対人ストレスが大きく負担になる人は、訪問看護・クリニック・産業看護など夜勤の少ない働き方も視野に入れて職場を選ぶのが現実的です。資格を取った後でも働き方は選べますが、夜勤なしの働き方は年収が下がる傾向がある点もあわせて理解しておきましょう。

まとめ

  • 正看護師になるには、大学4年・短大3年・専門3年・5年一貫・准看ルートのいずれかを経て、看護師国家試験に合格する。指定主体は大学・短大=文科大臣、専門学校(養成所)=都道府県知事。
  • 第114回(2025年)の合格率は全体90.1%・新卒95.9%。高めだが、入学・進級・卒業こそが実質的な関門。
  • 准看護師は2年課程で正看護師へ。通信制は2026年4月入学者から実務5年(60か月)以上に緩和予定。ただし通算年数・費用で見ること。
  • 学費は国公立大で約240万円〜(授業料+入学料の概算・実習費別)、私立大で約500〜800万円、専門で約200〜350万円が目安。
  • 修学資金(お礼奉公)は条件付きで負担を下げられるが、途中退職時の一括返還・縛りに注意。
  • 取得後の平均年収は約519万円。回収は学費だけでなく在学中コスト・手取り・可処分の上乗せ分で見るのが現実的。

よくある質問

看護師になる最短ルートは?

高卒から正看護師を目指す場合、3年制の専門学校または短大が最短です(最短3年)。学費を抑えやすい点もメリットです。中学卒業時点なら5年一貫校という選択肢もあります。

社会人や30代・40代からでも看護師になれますか?

なれます。入学に年齢の上限は原則なく、社会人入試を設ける学校も多くあります。最大の課題は学費より在学中の生活費・逸失収入なので、修学資金や教育訓練給付を組み合わせ、2〜3年分の家計を先に設計しましょう。ただし卒業後の就職では年齢が考慮される場面もある点は織り込んでおくと安心です。

准看護師と正看護師はどちらを目指すべき?

給与・キャリアの伸びしろを重視するなら正看護師が有利です。早く現場に出たい・中学卒業から目指したい場合は准看護師から始め、後で2年課程で正看護師へ進むルートも現実的ですが、その場合は正看到達までの通算年数と費用で比較してください。

看護師国家試験は難しいですか?

合格率は例年90%前後(新卒95%前後)と高めですが、これは養成課程を修了した人の合格率です。実習を含むカリキュラムは負担が大きく、進級・卒業まで継続できるかが本当の難所です。

修学資金は本当に返さなくていいの?

指定施設で定められた期間(例:5年)勤務すれば全額免除になる制度が一般的です。ただし途中で辞めると残額の一括返還や延滞利息(年14.5%など)が発生することがあり、配属の縛りもあります。免除条件・縛り年数を契約前に必ず確認してください。


本記事は2025年(令和7年)時点の公開情報をもとにした一般的な解説で、学費・合格率・年収・受験資格はすべて目安です。受験資格・課程の指定・修学資金の免除条件は学校・自治体・年度で異なり、制度や金額も改定される場合があるため、出願・契約前に各養成施設・都道府県・国家試験実施機関の最新の一次要項を必ずご確認ください。本記事は税務・投資・労務その他の専門的助言を構成するものではありません。参照源:厚生労働省(看護師国家試験 第114回 結果/保健師助産師看護師法・看護師等学校養成所指定規則/令和6年賃金構造基本統計調査)、文部科学省(高等学校における看護教育・国立大学標準額)、日本看護協会、各都道府県「看護師等修学資金貸与制度」要項。監修:黒田律(内科医・産業医)。

監修・運営:黒田 律(くろだ りつ)

内科医・産業医(医師8年目)/投資家

地方の病院で内科診療を続けながら、産業医として「働く人の心身とお金」に向き合う医師。記事は税・制度などを公的な一次情報で確認し、医療・制度面を監修しています。運営者・編集方針について →