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介護福祉士になるには|実務者研修・実務経験・養成施設・国家試験のルート【2026年版】

2026年6月19日 更新 / メディカルマネー編集部 / 監修:黒田律(内科医・産業医) / 初級者向け

この記事のゴール

介護福祉士になるための3つのルート(①実務経験3年+実務者研修 ②福祉系高校 ③養成施設)と、最新の国家試験の受験資格・合格率を一次情報で正確に把握できます。あわせて「働きながら取るのは現実的か」「学費・登録費用はいくらで、取得後にどれだけ回収できるか」というお金の現実まで、煽らずに確認できる構成です。

介護福祉士とは何か(まず立ち位置を整理)

介護福祉士は、社会福祉士及び介護福祉士法に基づく介護分野で唯一の国家資格です。無資格でも介護の仕事自体は始められますが、介護福祉士になると、専門職としての位置づけ・処遇改善加算の対象・サービス提供責任者やリーダー職への道が開け、賃金・キャリアの両面で扱いが変わります。

介護業界のキャリアは、ざっくり「無資格 → 介護職員初任者研修 → 実務者研修 → 介護福祉士 →(ケアマネジャー等)」という階段で整理できます。本記事はこの階段の中心にある「介護福祉士」へ、どのルートで・いくらかけて到達するかを扱います。無資格・初任者研修の段階からの全体像は介護のキャリアパスでも整理しています。

介護福祉士になる3つのルート(全体図)

受験資格を得る道は大きく3ルートです。社会人・他職種からの転職者が最も使うのは①の実務経験ルートです。

ルート主な対象必要なことかかる期間の目安
①実務経験ルート働きながら目指す社会人・転職者実務経験3年以上+実務者研修(450時間)修了 → 国家試験合格3年+研修
②福祉系高校ルート高校段階から目指す人福祉系高校で所定科目を修めて卒業 → 国家試験合格高校3年
③養成施設ルート高卒後・社会人で学校に通える人介護福祉士養成施設(2年以上・1,850時間以上)を卒業 → 国家試験合格2年(短大・専門)/4年(大学)
💡2027年度から養成施設ルートも「国試合格」が必須に

かつて養成施設の卒業者は国家試験を受けなくても資格を得られましたが、これは経過措置です。2026年度(令和8年度)末までの卒業者は、卒業後5年以内に国家試験に合格するか、または卒業後5年間続けて介護等の業務に従事すれば、その間は介護福祉士の資格を保持できます。一方で2027年度(令和9年度)以降の卒業者からは国家試験合格が必須になります。「養成施設を出れば自動で資格」という古い情報に注意してください。

出典:厚生労働省「介護福祉士の資格取得方法の見直しについて」(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000070315.html )/社会福祉士介護福祉士養成施設指定規則(e-Gov法令検索)2025年閲覧。

①実務経験ルート(働きながら目指す王道)

すでに介護現場で働いている人・これから働きながら取りたい人の中心ルートです。受験には次の2つが必要です。

  • 実務経験:従業期間3年以上(1,095日以上)かつ従業日数540日以上(対象の施設・職種で勤務した期間で計算)
  • 介護福祉士実務者研修(標準450時間・約6か月)の修了(2016年度の第29回国家試験から義務化)

初任者研修を持っていれば実務者研修の一部が免除され、費用・時間が軽くなります。無資格 → 初任者研修 → 実務者研修 → 介護福祉士という順で、働きながら段階的に積み上げるのが現実的です。

「実務経験3年」も「研修6か月」もぴったりでは受けにくい

実務経験は、従業期間(在籍した期間)と従業日数(実際に働いた日数)の両方を満たす必要があります。パート・短時間勤務だと、3年在籍しても日数が足りないことがあります。さらに無資格から実務者研修を受けると修了までに約6か月かかり、受験は「修了見込み」で申し込めても、修了が遅れれば受験できません。実務経験証明書の取得や申込み締切のタイミングもあり、「3年ちょうど」では受けられないことが多い点に注意してください。職種・施設が実務経験の対象かどうかも要件があるため、申込み前に必ず勤務先と試験センターの「実務経験の範囲」で確認しましょう。

出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「介護福祉士国家試験 受験資格(実務経験ルート)」(https://www.sssc.or.jp/kaigo/shikaku/route.html )2025年。

②福祉系高校ルート/③養成施設ルート

②福祉系高校ルートは、厚生労働大臣が定める教科・単位を修めて福祉系高校(または特例高校)を卒業し、国家試験に合格する道です。高校段階で進路が決まっている人向けで、社会人転職では使いにくい入口です。

③養成施設ルートは、厚生労働省指定の大学・短大・専門学校(介護福祉士養成施設)で2年以上・1,850時間以上(人間と社会/介護/こころとからだのしくみ/医療的ケアの4領域)の課程を修めるルートです。高校で福祉以外を学んだ人や、社会人が学び直して目指す場合に向きます。前述のとおり、2027年度以降の卒業者は国家試験合格が必須になります。

自分はどのルート?

すでに介護で働いている/これから働きながら取りたい → ①実務経験ルート。高校生で進路を決める → ②福祉系高校。今は別業界だが腰を据えて学校に通える → ③養成施設。迷ったら、収入を止めない①が社会人には最も無理がありません。

国家試験の受験資格・合格率・受験料(最新)

最新は第38回(2026年1月25日実施/合格発表2026年3月16日)です。結果は次のとおりで、合格率は前回(第37回・78.3%)から8ポイント以上下がり、3年ぶりに70%台へ低下しました。

項目第38回(2026年)第37回(2025年)参考
受験者数78,469人75,387人
合格者数54,987人58,992人
合格率70.1%78.3%
合格点(年度で変動)125点中64点/11科目群すべてで得点125点中70点(参考)
受験料18,380円(年度により変動)

合格率は過去10年でおおむね70〜84%(第32回69.9%〜第35回84.3%)の幅で推移しており、医師・看護師などと比べると「正しく準備すれば届く」難易度です。ただし合格点は年度ごとの難易度で補正される変動ラインで、第38回は64点(正答率約51%)まで下がる難しい年でした。「7割取れば確実」と固定的に考えず、11科目群すべてで1点以上という足切りを含め、苦手分野を作らない準備が必要です。

💡近年の制度変更(第38回から導入済み)

実技試験は第37回(令和6年度)から廃止され、現在は筆記のみです。さらに第38回(2026年)からパート合格制度が導入されました。試験はA・B・Cの3パートに分かれ、総得点で不合格でも、基準を満たしたパートは翌年・翌々年(2年間)の受験が免除されます。第38回のパート別基準点はA:32.23点/60点、B:20.43点/45点、C:11.33点/20点で、パート別合格者はAパート3,935人・Bパート1,509人・Cパート6,181人でした。制度は変わりやすいので、申込み前に必ず試験センター公式で確認してください。

出典:厚生労働省「第38回介護福祉士国家試験合格発表について」2026年(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_71070.html )/公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「合格発表」(https://www.sssc.or.jp/kaigo/ )。

無資格・初任者研修からのキャリアパス

「未経験・無資格だけど介護福祉士を目指したい」場合は、いきなり養成施設に通わなくても、働きながら実務経験ルートで取るのが定番です。流れの一例:

  • 無資格で就職 →(並行して)介護職員初任者研修を取得
  • 勤務を続けながら実務者研修(450時間)を修了
  • 実務経験3年(1,095日・540日)を満たした年に国家試験を受験

この間ずっと収入があるのが最大の利点です。資格手当や役職への道筋を含めた段階設計は介護のキャリアパス、資格手当の考え方は資格手当の解説もあわせてどうぞ。

学費・取得費用と、働きながら取る現実

ルートによって「お金のかかり方」が大きく違います。受験料のほかに、合格後の登録費用も必要です。

ルート費用の目安収入
①実務経験+実務者研修実務者研修は無資格スタートで10〜18万円程度が一般的(初任者研修など保有資格があると免除で割安に)+受験料18,380円働きながらなので収入は継続
②福祉系高校高校の学費に準じる
③養成施設(2年制)2年で約100〜200万円(学校・地域で差)+受験料原則として就学中は収入が止まる(夜間部・働きながら通学の例外あり)
合格=終わりではない(登録費用が別途必要)

国家試験に合格しても、試験センターに登録して登録証の交付を受けるまでは「介護福祉士」を名乗れません。登録には登録免許税9,000円+登録手数料3,320円=合計12,320円(2025年時点)が別途かかります。受験料・研修費とは別の出費として見込んでおきましょう。

費用負担を下げる制度も使えますが、条件と取りこぼしリスクを必ず確認してください。実務者研修は教育訓練給付制度の対象講座があり受講料の一部が支給される場合がありますが、対象講座・支給率・受給要件(雇用保険の加入期間など)が決まっています。実務者研修受講資金貸付制度は最大20万円を無利子で借りられますが、都道府県ごとに予算・募集枠があり全員が借りられるとは限らず、返還免除には「資格取得後、その都道府県内で一定期間(例:2年)介護の業務に従事」などの条件があります。途中で離職・転居すると一括返還を求められることがあるため、条件をよく読んでから利用しましょう。養成施設に通う場合は奨学金の検討も現実的です(返済設計は奨学金返済の記事)。

「最短」だけで選ばない

養成施設ルートは2年で受験資格が整い理論も体系的に学べますが、学費と無収入期間の両方が重くのしかかります。社会人なら、収入を止めずに3年(+研修期間)かけて実務経験ルートで取る方が、家計のダメージが小さいことが多いです。期間の短さより総コスト(学費+失う収入)で比較しましょう。

出典:公益財団法人 社会福祉振興・試験センター「資格登録(新規登録)」(https://www.sssc.or.jp/touroku/shinki.html )/厚生労働省「教育訓練給付制度」「介護福祉士等修学資金・実務者研修受講資金貸付制度」2025年。学費は各養成施設・研修スクール公表額。金額は目安・最新は各機関で要確認。

取得後の年収・処遇改善(お金の見通し)

令和6年度の調査では、介護福祉士(常勤)の平均給与額は月35万円前後でした。これは基本給に加え各種手当・一時金(賞与)を月割りにした額を含む「給与額」で、単純に12倍すれば年収はおよそ420万円が目安になります(賞与の出方や手当の入れ方で前後し、勤続・役職・地域でも大きく変わります)。あくまで平均であり、勤続年数の長い層や役職者が押し上げているため、資格取得直後の実額はこれより低いのが普通です。資格を取ると資格手当が付き、介護職員等処遇改善加算の対象になることで、無資格時より待遇が上がりやすくなります。

処遇改善は2024年6月から複数の加算が「介護職員等処遇改善加算」に一本化され、近年は賃上げの流れが続いています(同調査では介護職員全体の平均給与が前年同月比で約4%上昇)。なお、この+4%前後は介護福祉士に限らず介護職員全体の数値です。とはいえ全産業平均と比べると依然差があるのも事実で、夜勤手当や役職、勤務先の加算取得状況で手取りは大きく変わります。職種横断の比較は職種別の手取り、介護職のお金まわりは介護職のお金の話、年収アップ策はキャリアパスで深掘りしています。

処遇改善加算や資格手当が付くと手取りはどう変わる? 額面を入れて確認 → 手取りシミュレーター

出典:厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査の概要」(介護福祉士の平均給与額350,050円・令和6年9月/介護職員全体の前年同月比+約4%)2024年(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/jyujisya/24/dl/r06gaiyou.pdf )。年収は給与額×12の目安・最新は各統計で要確認。

さらに上へ:看護師・ケアマネ等への発展

介護福祉士はゴールではなく、次のステップの土台にもなります。実務経験を積んでから看護師を目指す人もいます(働きながら准看・正看を取るルートなど)。介護から看護への進路と、その費用・年収差は介護士から看護師になる記事で具体的に比較しています。ケアマネジャー(介護支援専門員)も、介護福祉士としての実務経験が受験要件につながる代表的な上位資格です。

まとめ

  • 介護福祉士になる道は①実務経験3年+実務者研修 ②福祉系高校 ③養成施設の3ルート。社会人は収入が止まらない①が現実的。
  • 最新の第38回(2026年)の合格率は70.1%で3年ぶりに70%台へ低下。実技試験は廃止済み、第38回からパート合格制度が導入された。合格点は年度で変動(第38回は64点)。受験料は18,380円。
  • 養成施設ルートは2027年度卒業者から国家試験合格が必須に。経過措置卒業者は「5年以内に合格」か「5年間継続従事」で資格を保持。古い「卒業=資格」情報に注意。
  • 費用は実務者研修が無資格スタートで10〜18万円/養成施設2年で約100〜200万円。合格後の登録費用12,320円も別途必要。教育訓練給付・貸付制度・奨学金は条件と返還リスクを確認のうえ活用。
  • 取得後の年収は約420万円が目安(平均値・取得直後はこれより低め)、処遇改善加算と資格手当が効く。期間の短さより総コストで選ぶ。

よくある質問

未経験・無資格でも介護福祉士になれますか?

なれます。多くの人は無資格で就職し、初任者研修・実務者研修を取りながら3年の実務経験を積み、国家試験に挑む「実務経験ルート」で取得しています。働きながら進められるのが利点です。

働きながら最短でどのくらいで取れますか?

実務経験ルートは「従業期間3年(1,095日)かつ従業日数540日以上」と実務者研修修了が必要です。無資格からだと実務者研修だけで約6か月かかり、修了見込みでの受験は可能でも修了が遅れると受験できません。短時間勤務だと日数要件で3年を超えることもあり、実務経験証明書や申込み締切の都合で「3年ちょうど」では受けにくい点に注意してください。

国家試験は難しいですか?

第38回(2026年)の合格率は70.1%で、過去10年はおおむね70〜84%で推移する、国家資格としては合格しやすい部類です。ただし合格点は年度の難易度で補正される変動ラインで(第38回は125点中64点)、11科目群すべてで得点が必要なため、苦手分野を作らない学習が重要です。実技試験は廃止され筆記のみです。

養成施設を卒業すれば試験なしで資格を取れますか?

2026年度末までの卒業者は経過措置の対象で、卒後5年以内に国家試験へ合格するか、5年間続けて介護等の業務に従事すれば資格を保持できます。ただし2027年度以降の卒業者からは国家試験合格が必須です。最新の制度を必ず公式で確認してください。

取得後はどのくらい収入が上がりますか?

常勤の平均給与は月35万円前後(賞与・手当を月割りで含む)で、単純に12倍すると年収約420万円が目安です。あくまで平均で、取得直後の実額はこれより低めが普通です。資格手当と処遇改善加算により無資格時より待遇が上がりやすくなりますが、勤務先の加算取得状況・夜勤・役職で差が大きく、額面と手取りは別物です。手取りの目安は手取りシミュレーターで確認できます。


免責:本記事は2026年(令和8年)6月時点で確認できる公的情報をもとに作成した一般的な進路ガイドであり、個別の受験資格・費用・税務・労務を保証するものではありません。学費・合格率・年収・制度はいずれも目安であり、最新の数値・要件は必ず各公式機関でご確認ください。参照源:厚生労働省(第38回介護福祉士国家試験合格発表について/介護従事者処遇状況等調査/介護福祉士の資格取得方法の見直し)、公益財団法人 社会福祉振興・試験センター(受験資格・資格登録)、社会福祉士介護福祉士養成施設指定規則(e-Gov)、各養成施設・実務者研修スクール公表資料。監修:黒田律(内科医・産業医)。当サイトは医療職の家計・健康・労務の観点から、進路選択を「お金と働き方」の両面で検討できるよう監修しています。

監修・運営:黒田 律(くろだ りつ)

内科医・産業医(医師8年目)/投資家

地方の病院で内科診療を続けながら、産業医として「働く人の心身とお金」に向き合う医師。記事は税・制度などを公的な一次情報で確認し、医療・制度面を監修しています。運営者・編集方針について →