医療職のNISA・iDeCo入門
手取りからいくら積み立てる?非課税と節税の効果
手取りの仕組みがわかったら、次のテーマは「残ったお金をどう育てるか」です。医療職は比較的収入が安定している一方、忙しさからお金の運用を後回しにしがち。でも、NISAやiDeCoのような非課税・節税の仕組みは、早く始めるほど複利で効いてきます。
この記事では、NISAとiDeCoの違いと、どちらから始めればいいかを整理します。(手取りの仕組みは こちらの記事 をどうぞ。)
毎月いくら積み立てると将来どうなるか、節税額はいくらかは、NISA・iDeCo積立シミュレーター で計算できます。
NISAとは:非課税で運用でき、いつでも引き出せる
通常、株式や投資信託で得た利益には約20.315%の税金がかかります。NISA口座の中で運用すれば、この利益が非課税になります。
とくに配当を受け取るたびに課税される高配当株は、所得の高い医療職ほどこの税負担が重くのしかかります。くわしくは 高配当株の課税ドラッグ(高所得の医療職ほど不利) をどうぞ。
2024年から始まった新しいNISAは、
- つみたて投資枠(年間120万円)と成長投資枠(年間240万円)の2つ、合計で年間360万円まで
- 生涯の非課税保有限度額は1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)
- いつでも引き出せる(流動性がある)
引き出しが自由なので、教育費や住宅資金など、将来使う予定のあるお金にも向いています。
iDeCoとは:掛金が全額所得控除になる「節税の塊」
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、自分で積み立てる私的年金です。最大の特徴は、掛金が全額「所得控除」になること。つまり、運用益が非課税なのに加えて、毎年の所得税・住民税そのものが安くなります。
たとえば所得税率10%の人がiDeCoに年24万円を掛けると、所得税+住民税(10%)で年間およそ4.8万円の節税になります(あくまで目安)。これは運用の成績とは関係なく得られる、確実なメリットです。
原則60歳まで引き出せません(老後資金専用)。また掛金の上限は、加入区分や勤務先の年金制度によって変わります。企業年金のない会社員で月23,000円、自営業で月68,000円など。医療機関に勤める人は、勤務先に企業年金(企業型DC・確定給付年金)があるかで上限が変わり、公務員区分は別枠です。加入前に勤務先や金融機関で自分の上限を確認してください。
NISAとiDeCo ざっくり比較
| 項目 | NISA | iDeCo |
|---|---|---|
| 運用益 | 非課税 | 非課税 |
| 掛金の所得控除 | なし | あり(全額控除=節税) |
| 引き出し | いつでも可 | 原則60歳まで不可 |
| 年間の上限 | 360万円(生涯1,800万円) | 区分により月1.2〜6.8万円 |
| 向いているお金 | 使う予定のあるお金 | 老後資金 |
NISAとiDeCo、どちらから始める?
ざっくりした使い分けの目安です。
- 使う予定のあるお金・流動性を確保したい → まずはNISA。いつでも引き出せる安心感があります。
- 当面使わない老後資金で、節税を最大化したい → iDeCo。引き出せない代わりに、節税という確実なリターンがあります。
- 両方やる余裕がある → 併用も可能。NISAで流動性を確保しつつ、iDeCoで節税を取りにいく形です。
迷ったら、引き出しの自由がきくNISAから始める人が多いです。まずは少額でも始めて、慣れてきたら金額を増やす・iDeCoを足す、という進め方で十分です。比較的収入の高い医療職では、続けるうちにNISAの非課税枠を使い切る人も出てきます。その場合の次の一手は NISA枠を使い切った医療職の次の一手 で、iDeCoや課税口座の使い分けを整理しています。
複利で「どこまで育つか」を見てみる
積立の効果は、複利で雪だるま式に大きくなります。たとえば毎月3万円を想定利回り年5%で20年積み立てると、元本720万円に対して、運用後はおよそ1,233万円——増えた分が500万円を超える計算です(あくまで一定利回りを仮定した試算)。
NISAなら、この増えた分にかかるはずだった税金(約20.315%)が非課税になります。iDeCoなら、それに加えて毎年の掛金ぶんの節税もあります。
▼ 毎月3万円・年5%で積み立てた場合の資産(期間別)
※年5%で一定運用できたと仮定した試算。元本はそれぞれ360万・720万・1,080万円。期間が長いほど「増えた分」が大きく膨らむのが複利の力です。運用成果を保証するものではありません。
忙しい医療職こそ「自動積立」
医療職は収入があっても、夜勤や残業で忙しく、運用に手をつけられないまま——という人が少なくありません。だからこそ、毎月自動で積み立てる設定にしておくのがおすすめです。一度設定すれば、あとは基本ほったらかしでOK。夜勤で収入が多少上下しても、コツコツ続けることが、長期では大きな差になります。
まだ口座がない場合は、証券口座の開設が最初の一歩です。NISAもiDeCoも、証券会社や銀行で口座を作るところから始まります。
まとめ
- NISAは運用益が非課税で、いつでも引き出せる。新NISAは年360万円・生涯1,800万円まで。
- iDeCoは掛金が全額所得控除で節税になるが、60歳まで引き出せない。上限は勤務先制度で変わる。
- 迷ったら流動性のあるNISAから。両方の併用も可能。
- 複利と非課税・節税の効果は 積立シミュレーター で確認できる。
- 忙しい医療職こそ、自動積立でほったらかし運用を。
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よくある質問
NISAやiDeCoで損をする(元本割れする)ことはありますか?
はい、どちらも投資なので元本は保証されません。値下がりした時に売れば損が出ます。ただし、長期・積立・分散を意識して続けると、買う時期が分散されて価格のブレはならされやすくなります(利益を約束するものではありません)。大切なのは、暴落時に慌てて売らないこと。仕組みの基本は 投資のきほん で確認できます。
iDeCoは転職や退職をするとどうなりますか?
iDeCoはもともと個人の年金口座なので、転職・退職しても同じ口座のまま続けられます。ただし掛金の上限は、転職後の働き方や勤務先の年金制度(企業型DC・確定給付年金の有無)、退職して配偶者の扶養に入るかなどで変わるため、その都度の見直しが必要です。掛金を止めたい時は、積立をやめて運用だけ続ける形にもできます。区分ごとの上限は DC・iDeCo上限改正 をどうぞ。
iDeCoは受け取るときにも税金がかかりますか?
はい。積立時の掛金は全額が所得控除になりますが、受け取るときには原則として課税の対象になります。ただし、一時金なら退職所得控除、年金形式なら公的年金等控除が使えるため、受け取り方しだいで税負担は大きく変わります。とくに会社の退職金と受け取り時期が重なる人は要注意で、詳しくは iDeCoの出口戦略 で解説しています。
NISAとiDeCo、どこの証券会社で口座を作ればいいですか?
手数料が安く、つみたて対象の投資信託が豊富なネット証券を選ぶ人が多いです。NISAとiDeCoは別々の会社でも作れますが、同じ会社にそろえると管理がラクになります。選び方の比較は ネット証券の選び方 を参考にしてください。
月1,000円のような少額でも始める意味はありますか?
あります。金額の大きさより、早く始めて長く続けることが複利では効いてきます。まずは少額で口座開設と自動積立の流れに慣れ、家計に余裕が出たら増額していけば十分です。少額の場合に将来いくらになるか、iDeCoの節税額の目安は NISA・iDeCo積立シミュレーター で試せます。
扶養内のパート(年収の壁の範囲内)でもNISAやiDeCoのメリットはありますか?
NISAの運用益非課税は収入の多い少ないに関係なく使えるので、扶養内でもメリットがあります。一方でiDeCoの所得控除は、納める所得税・住民税がもともと少ない人ほど節税の効果は小さくなります(運用益が非課税というメリット自体は受けられます)。年収の壁との関係は 配偶者控除と年収の壁 もあわせてどうぞ。
本記事は2026年(令和8年)時点の一般的な情報です。NISA・iDeCoの制度内容や掛金上限は改正・個別の事情により変わります。投資には元本割れのリスクがあります。最新の制度は金融庁・各金融機関の公式情報をご確認ください。本記事は投資の助言ではありません。